人気ブログランキング | 話題のタグを見る

休み度々で会社に気を遣い、子どもの発育もあれこれ心配。動かぬ家人に溜まる家事。そんな働くお母さん、ちょっと笑っていきませんか?


by mypandora0
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

文具が呼び起こす、繊細で純粋な「あのころ」への憧憬(カレー文具リターンズ課題の回答)

※先日、カレー文具リターンズという、文具をこよなく愛する人々の群れに参加してまいりました。
その際、「自分の文具好きと関係のありそうな本を紹介し、自らの文具好きについて語る」という課題が課せられていましたが、時間の都合によりお話できませんでした(まあ、時間があっても話術がないので、どうせ話せませんが)。
ここにその課題への回答を記します。関係者の皆様、ご笑覧ください。
(カレー文具リターンズ http://twipla.jp/events/14482


まっさらのレターセットやメモパッドを見ると、足を止めてしまう。
繊細な筆先のカラーペンがあれば、そっと試し書きしてしまう。
文具を見る時の、ワクワクと少し涙が入り混じるような、切ない感覚は何なのだろう。

持ち歩くのはA4ノート、なぐり書きできるボールペン。普段使いの文具は実用性第一。
しかし時折無性に小さい、可愛らしい、ちまちました文具品に惹かれる。

学生の頃、無印の細いカラーペンで便せんに手紙を書いて、小さく畳んで友達と交換した。
丁寧に、行間にきちんと文字が収まり、まっすぐな傍線が引かれた友達の手紙。
文具はあのころの記憶を呼び起こすのかもしれない。

梨木果歩の「西の魔女が死んだ」に出てくる、カントリーハウスでのロハスな暮らし。
道端のワイルドな野イチゴを丁寧に摘み、大量の小瓶を熱湯で消毒して、ゆっくり煮詰めたジャムを入れる。
足で踏んで洗濯した、まっ白いシーツが、洗濯ロープにかけられて風に翻る。
面倒だけれど丁寧な、心が込められた、日々の営みの数々。
そして、主人公の少女の純粋な、悪に対して潔癖な、鋭く繊細な感受性。

文具はそういう、ちょっとあぶなっかしくすらある、純度の高い精神の時期を連想させる。
数々の繊細な手順のなかで、感受性が研ぎ澄まされていくような感覚。
仕事に就いて、子どもを産んで、徐々に遠ざかってしまった、あの繊細さ。

冬の冷たく新鮮な空気のような、その感覚を思い出すためだけに、小さなノートや可愛いペンを使わずにしまっておく。
繊細に生きられないからこそ、文具に憧れ、手作りに憧れる。
それが、私の文具好きの根幹にあるように思います。

(ま、その憧れと食欲が一体となって、このブログで報告しているように、パンとかいろいろ作るようになったわけです。食い意地だけではない。ただ、食い意地が動機の80%くらいを占めていることは認めざるを得ない)
by mypandora0 | 2011-11-29 13:19 | 「書く」関連